10月の行事と歴史に学ぶ、日本人の秋の暮らし方
こんにちは。昭和23年創業の老舗クリーニング店。
館山市・南房総市・鋸南市・いすみ市・木更津市・袖ケ浦市・市原市に展開し、スーパー併設や街の取次店などを運営するクリーニングハローです。
10月を昔の暦では「神無月」と呼びます。10月1日は衣替え、10月の第2月曜日はスポーツの日、そして2026年10月23日は十三夜、月の最後となる10月31日はハロウィンです。こうして並べてみると、10月には実に多くの行事があります。けれども、私たちはその一つひとつについて、意外なほど知らないのかもしれません。なぜ10月を神無月と呼ぶのか。なぜ衣替えは10月1日なのか。十五夜とは別に、なぜ十三夜にも月を眺めるのか。そして、今では日本でも当たり前になったハロウィンは、どこからやってきたのか。歴史を知ることは、単に昔の知識を増やすことではありません。今の私たちが何気なく続けている習慣の意味を知ることでもあります。10月の行事の歴史をたどってみると、そこには季節とともに暮らしてきた人々の知恵や工夫が見えてきます。
神無月と衣替えに見る、季節とともに暮らすということ
10月の和風月名「神無月(かんなづき)」については、「全国の神々が出雲へ集まるため、各地では神様がいなくなるので神無月と呼び、神様が集まる出雲では神在月と呼ぶ」という話がよく知られています。しかし、これは数ある由来の一つです。「無」は「ない」という意味ではなく、「の」にあたる助詞であり、「神の月」という意味だったとする説などもあります。語源を一つに決めることはできませんが、大切なのは旧暦の10月が人々にとってどのような季節だったかということです。旧暦10月は現在の暦ではおおむね晩秋から初冬にあたり、秋の収穫を終え、冬を迎える準備を始める時期でした。自然の変化が、そのまま暮らしの変化につながっていた時代です。
その「暮らしを切り替える」という感覚を今に伝えているのが、10月1日の衣替えでしょう。衣替えの歴史は平安時代の宮中行事にまでさかのぼるとされています。当時は季節に合わせて装束を替える習慣があり、「更衣」と呼ばれていました。江戸時代になると、季節ごとに着る衣服を替える習慣がより細かく定められます。そして明治時代に洋装が導入されると、官公庁や軍隊などを中心に夏服と冬服を切り替える仕組みがつくられ、それが学校や一般社会にも広がっていきました。現在では10月でも気温が高い日があり、10月1日を境にすべての服を入れ替えることは少なくなりました。それでも10月になると「そろそろ秋冬物を準備しよう」と思います。暮らし方は大きく変わっても、季節の変化に合わせて身の回りを整えるという感覚は、今も私たちの中に残っているのでしょう。
スポーツの日と十三夜、動く秋と静かに味わう秋
10月の第2月曜日は「スポーツの日」です。その前身である「体育の日」は、1964年の東京オリンピックの開会式が10月10日に行われたことにちなみ、1966年に国民の祝日として設けられました。その後、2000年からハッピーマンデー制度によって10月の第2月曜日となり、2020年には名称が「スポーツの日」に変更されました。秋は暑さが和らぎ、体を動かすには心地よい季節です。「スポーツの秋」という言葉が定着したことからも、日本人が秋と運動を自然に結びつけてきたことが分かります。
一方で、同じ10月には、体を動かすのとは正反対の楽しみ方もあります。2026年10月23日の「十三夜」です。十三夜とは旧暦9月13日の夜に月を愛でる日本独自の風習で、旧暦8月15日の十五夜に続く月見であることから「後の月」とも呼ばれます。この頃に栗や豆が収穫されることから「栗名月」「豆名月」という呼び名も残っています。また、十五夜の月だけを見て十三夜を見ないことを「片見月」と呼び、縁起がよくないとする風習も伝えられてきました。興味深いのは、十三夜では満月になる少し前の月を眺めることです。すべてが満ちたものだけに美しさを求めるのではなく、満ちていく途中にも趣を感じる。そこには日本人が長い時間をかけて育んできた独特の季節感を見ることができます。
スポーツの日には外へ出て体を動かし、十三夜には足を止めて空を見上げる。一方は動き、一方は静けさです。しかし、そのどちらにも共通しているのは「秋という季節を感じること」です。便利になった現代では、一年を通して同じような環境で暮らすこともできるようになりました。それでも、季節によって楽しみ方を変えるという文化は残っています。10月の行事は、季節を感じることそのものが暮らしを豊かにすることを教えてくれているようです。
ハロウィンの歴史から見えてくる、秋から冬への境目
10月31日はハロウィンです。現在の日本では仮装をしたり、かぼちゃを飾ったり、お菓子を楽しんだりする秋のイベントとして広く知られています。その背景には、古代ケルト文化の「サウィン」と呼ばれる祭りとの関係があるとされています。古代ケルトでは秋の終わりから冬の始まりへ向かう時期を一年の大きな節目としていました。その後、長い歴史の中でさまざまな地域の風習やキリスト教文化などの影響を受け、現在知られているハロウィンへと変化していったと考えられています。仮装や「Trick or Treat」、ジャック・オー・ランタンなども、一つの時代、一つの地域で突然生まれたものではなく、さまざまな文化や風習が重なりながら現在の形になりました。
日本でハロウィンに関連した催しなどが見られるようになったのは1970年代ごろからで、その後、テーマパークや商業施設、菓子や雑貨などを通して広く知られるようになりました。神無月や十三夜と比べれば、日本での歴史は新しいものです。それでも現在では、10月を象徴する行事の一つになっています。ここで改めて10月の行事を並べてみると、面白い共通点が見えてきます。神無月、衣替え、スポーツの日、十三夜、ハロウィン。生まれた国も時代も目的も違うのに、その多くが季節の移り変わりと結びついています。昔の人は暦だけで季節を知ったわけではありません。空を見上げ、風を感じ、収穫物を見て、着るものを替えながら、季節が移っていくことを感じていました。行事とは、季節を忘れずに暮らすための仕組みでもあったのかもしれません。
10月の衣替えは、お洋服の時間を次の季節へつなぐこと
では、現代の私たちにとって10月の衣替えには、どんな意味があるのでしょうか。クリーニング店の立場から考えると、衣替えで大切なのは「秋冬服を出すこと」だけではありません。むしろ最初に考えたいのは、ひと夏を一緒に過ごした服をどのような状態でしまうかです。シャツ、ブラウス、ワンピース、パンツ、スカート、サマージャケットなどには、見た目では分からなくても汗や皮脂などが残っていることがあります。着ている間には気にならなかったものが、長期間収納することで黄ばみや変色、ニオイなどにつながることもあります。そこで大切になるのが、しまう前にきれいな状態へ整える「しまい洗い」です。
同時に、これから活躍する秋冬物にも目を向けてみましょう。ジャケット、ニット、カーディガン、コート、ダウンウェア、マフラーなどを出したら、シミやニオイ、カビ、虫害、ボタンやほつれなどがないか確認します。寒くなって必要になった日に初めて状態を見るのではなく、少し余裕のある10月に確認しておけば安心です。スポーツの日をきっかけに、ジャージやユニフォーム、スポーツウェア、ウインドブレーカーなどのお手入れを見直すのもよいでしょう。ハロウィンの仮装衣装も、イベントが終わったらそのまま収納するのではなく、素材や洗濯表示、装飾を確認してからしまいたいものです。家庭でお手入れできるものは家庭で。洗い方に迷うもの、大切なお洋服、家庭では扱いにくいものはクリーニング店へ相談する。大切なのは、何でもクリーニングに出すことではなく、その一着に合った方法で次に着る日へつないでいくことです。
10月を神無月と呼び、衣替えをし、スポーツを楽しみ、十三夜の月を眺め、ハロウィンを迎える。私たちは形を変えながらも、今も季節とともに暮らしています。衣替えも同じです。夏服をしまい、秋冬服を出すという単なる作業ではなく、過ぎていく季節を整え、これからの季節を迎える準備をすること。今年の10月、クローゼットを開けたときには、少しだけそんなことを思い出してみてください。季節を大切にすることは、身近な一着を大切にすることから始まるのかもしれません。






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