コートは、冬の記憶をまとっている

こんにちは。昭和23年創業の老舗クリーニング店。
館山市・南房総市・鋸南市・いすみ市・木更津市・袖ケ浦市・市原市に展開し、スーパー併設や街の取次店などを運営するクリーニングハローです。

冬になると、毎年のように手に取るコートがあります。

新しい服を買っても、結局いつものコートを着ている。そんな経験はありませんか。コートは少し不思議なお洋服です。シャツやセーターより値段が高いから、という理由だけではありません。何年も着ているうちに体になじみ、着て出かけた場所や、その年の冬の記憶まで重なっていきます。

だからでしょうか。古くなったからと簡単には手放せない一着が生まれます。

そんなコートについて、今回は少しだけ歴史を振り返りながら、種類や特徴、そして長く着るためのお手入れについて考えてみたいと思います。

名前を知ると、コートは面白い

「コート」と一言で呼んでいますが、実はたくさんの種類があります。トレンチコート、チェスターコート、ピーコート、ダッフルコート、ステンカラーコート、モッズコートなど。形が違うだけではなく、それぞれ生まれてきた背景も違います。

代表的なのがトレンチコートです。

「トレンチ」とは塹壕という意味。第一次世界大戦期の軍用コートとして広く知られるようになりました。雨や風の中で活動するために考えられた服で、現在ではおなじみの肩のエポレットや背中のストームフラップ、腰のベルトなどにも、もともとは機能的な意味がありました。

今ではスーツにもデニムにも合わせられる定番のファッションですが、あの形は最初から「おしゃれ」のために考えられたわけではなかったのです。

ピーコートも軍服との関係が深く、特に海軍で使われてきたことで知られています。厚手のウール、大きな襟、ダブルの前合わせ。冷たい海風から体を守るための工夫が、現在のピーコートにも残っています。

ダッフルコートも面白い存在です。

特徴的なのが「トグル」と呼ばれる留め具。一般的なボタンとは違い、手袋をしていても扱いやすい形になっています。ダッフルコートも軍用衣料として使われた歴史があり、機能を追求して生まれたデザインが、今では冬のファッションとして定着しています。

一方、チェスターコートは少し違います。19世紀の英国で広まったとされる、テーラードジャケットをそのまま長くしたような端正な形。スーツとの相性がよく、現在ではビジネスだけでなく、ニットやスニーカーなどと合わせてカジュアルにも着られています。

こうして見てみると、私たちが何気なく「定番」と呼んでいるコートの多くには長い歴史があります。

流行が毎年のように変わるファッションの世界で、100年以上前につながるデザインが今でも普通に着られている。これは考えてみれば、とても面白いことです。

良いデザインとは、新しいものだけではないのかもしれません。

コートは冬の一番外側にいる

そんなコートですが、お手入れについては少し曖昧な存在でもあります。

肌着なら毎日洗う。シャツも洗う。セーターも何度か着たら洗う。

では、コートは?

「そういえば、いつ洗っただろう」と考えてしまう方もいるのではないでしょうか。

コートは直接肌に触れる部分が少ないため、あまり汚れていないように感じます。けれども、冬の間ずっと一番外側にいるお洋服です。

電車に乗る。車に乗る。街を歩く。レストランへ行く。雨や雪の日にも着る。

その間、表面にはホコリや花粉などが付着します。襟には首から皮脂や汗、整髪料、化粧品などが付き、袖口やポケット口には手から出る皮脂が残ります。

つまり、見えていないだけで、コートも少しずつ汚れていきます。

特に気をつけたいのは、「見えない汚れほど忘れやすい」ということです。

目立つ泥汚れなら誰でも気づきます。しかし、うっすら付着した皮脂や汗などは、着ているときにはほとんど気になりません。そのまま何か月も収納している間に酸化し、黄ばみや変色、ニオイなどにつながることがあります。

ウールやカシミヤなど動物性繊維を使ったコートなら、虫食いにも注意したいところです。

春にしまったときには何ともなかったのに、冬になって取り出したら小さな穴が開いていた。そんな経験がある方もいるでしょう。

コートは「着ているとき」だけではなく、「着ていない時間」にも状態が変わっているのです。

洗うことだけがお手入れではない

では、コートをきれいに保つには、頻繁にクリーニングすればよいのでしょうか。

そういうわけでもありません。

普段のお手入れで大切なのは、まず少し休ませることです。

一日着たコートには、外からの湿気だけでなく、体から出た湿気も残っています。帰宅してすぐにクローゼットへ入れるのではなく、少し湿気を逃がしてから収納する。それだけでも違います。

表面に付いたホコリは、素材に合った洋服ブラシなどでやさしく落とします。特にウール系のコートは、毛並みを整えるようにブラッシングすることで表面を整えやすくなります。

そして、できれば毎日同じコートを着続けないこと。

靴を休ませるのと少し似ています。一日着たら少し休ませる。別の一着を着る。そしてまた戻る。そんな着方も、お洋服を長く使うためのお手入れの一つです。

意外と見落としやすいのが摩擦です。

いつもショルダーバッグを掛けている肩、リュックが当たる背中、車や電車のシートと擦れる部分。よく見ると、その場所だけ毛羽立ったり、毛玉ができたりしていることがあります。

これは洗って落とす「汚れ」ではありません。

だからこそ、コートのお手入れは洗うことだけではなく、「どう着るか」まで含めて考えたいものです。

雨や雪で濡れた日も同じです。濡れたままクローゼットへ入れず、水分をやさしく取り、形を整えて風通しのよい場所で自然に乾かします。早く乾かそうと強い熱を当てると、素材によっては縮みや風合いの変化、型崩れにつながることがあります。

少し面倒に感じるかもしれません。でも、一回一回のお手入れはほんのわずかなことです。

その小さな積み重ねが、数年後のコートの姿を変えていきます。

クリーニングは「着終わったあと」に

コートのクリーニングで迷いやすいのがタイミングです。

春になって着なくなったときに洗うのか。それとも、次の冬に着る直前に洗うのか。

基本的には、シーズンが終わって収納する前のお手入れをおすすめします。

理由は単純です。

今年付いた汚れを、来年まで持ち越さないためです。

数回しか着ていないコートでも、襟や袖口をよく見てみてください。食事のときに付いた小さなシミなどがないかも確認します。

シミや汚れは時間が経つほど変化します。付いたときにはほとんど見えなかったものが、数か月後に浮き上がって見えることもあります。

「来年着る前に洗えばいい」ではなく、「今年着たものを整えてから休ませる」。

そう考えると、クリーニングの意味も少し変わってきます。

また、コートは素材も構造もさまざまです。

ウール、カシミヤ、アンゴラ、綿、ポリエステル、ナイロン。さらに表地だけではなく、裏地や芯地、ボタン、ベルト、装飾品など、一着の中に複数の素材が使われていることも珍しくありません。

特にお気に入りのコートや高級素材を使ったものは、価格だけではなく、「これから何年着たいか」という視点でクリーニング方法を考えてみてもよいでしょう。

雨や雪の日によく着るものなら、素材やデザインに応じて撥水加工を検討する。ウール系のコートを長期間収納するなら、防虫対策を考える。

必要なお手入れは、すべてのコートで同じではありません。

その一着をどのように着ているのか。それによって、お手入れも変わってくるのです。

来年も着たいと思える一着へ

クリーニングが終わったら、最後は保管です。

コートは重さがあります。細いハンガーに長期間掛けていると、肩の形が崩れてしまうことがあります。できれば肩幅に合った、ある程度厚みのあるハンガーを選びたいところです。

クローゼットの中も、ぎゅうぎゅうに詰め込まない。少し余裕を持たせることで、コートの形を保ちやすくなります。

こうして考えてみると、コートのお手入れは特別に難しいことばかりではありません。

着たら少し休ませる。ホコリを落とす。濡れたら乾かす。シーズンが終わったら汚れを落としてからしまう。

大切なのは、「傷んでから何とかする」のではなく、その前に少し手をかけることなのかもしれません。

トレンチコートも、ピーコートも、ダッフルコートも、長い時間を超えて着続けられてきました。

そう考えると、お気に入りの一着を何年も着ることは、決して「古いものを着続ける」ということではありません。

自分が好きなものを、大切に使い続けるということです。

今年の冬も袖を通したコート。

その一着をきれいにしてしまうのは、今年の冬を終わらせるためだけではありません。

次の冬、クローゼットを開けたときに「今年もこれを着よう」と思えるように。

コートのお手入れとは、次の冬の準備でもあるのです。

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千葉県鴨川市を拠点に、房総半島をぐるっと一周カバーする「クリーニングハロー」は、昭和23年創業の信頼と実績あるクリーニング店です。館山・南房総・鋸南・いすみ・木更津・袖ケ浦・市原市まで、幅広いエリアに店舗を展開。スーパー併設店や街の取次店を通じて、日常使いから業務用まで多様なニーズに対応します。地域密着型の本格派クリーニングで、衣類・靴・鞄・シーツまで丁寧に洗い上げます。お気軽にご相談ください。

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